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2025.12.25

クーリングタワー修理の判断基準について

クーリングタワー修理の判断基準について

工場のユーティリティ設備の中で、最も過酷な環境に置かれているのがクーリングタワー(冷却塔)です。雨風に晒され、直射日光を浴び、常に湿気の中にいる。それなのに、屋上や建屋の裏手といった「目立たない場所」にあるため、点検がおろそかになりがちです。

私が30年の現場経験で見てきた「クーリングタワーのトラブル」には、ある共通点があります。それは、**「最も負荷がかかる真夏に故障する」**ということです。 外気温が35度を超える猛暑日、生産ラインもフル稼働。そんな時に突然、冷却水温が下がらず、チラーや冷凍機が高圧カットでトリップする。エアコンが効かなくなり、製品の品質不良が発生する……。これはまさに悪夢です。

「クーリングタワー 修理」と検索されたあなたは、今まさに何らかの不調を感じているか、夏の繁忙期を前に不安を感じている方でしょう。 本記事では、クーリングタワーの構造を熟知したプロの視点で、よくある不具合の原因と対策、そして**「修理して使うか、更新(入替)すべきか」の判断基準**を解説します。

1. まず確認! 修理業者を呼ぶべき「3つの危険サイン」

クーリングタワーの不調は、大きく分けて「能力不足(冷えない)」「機械的故障(異音・振動)」「老朽化(水漏れ・破損)」の3つです。

① 水温が下がらない(能力ダウン)

「最近、冷えが悪い気がする」。そう感じた時、まず疑うべきは以下の点です。

  • 充填材(フィラー)の目詰まり・スケール付着:
    • クーリングタワーの心臓部である充填材に、カルシウムやシリカなどのスケールがびっしりと付着していませんか? これでは風が通らず、熱交換ができません。
  • 散水不良:
    • 上部の散水槽や散水ノズルが藻(スライム)で詰まり、水が偏って落ちていませんか? 充填材全体に水が行き渡らなければ、性能は発揮されません。
  • ファンのベルト緩み:
    • モーターの回転は正常でも、ベルトが滑ってファンが既定の回転数に達していないケースが多々あります。

② 異音・振動がする

屋上から「ゴー」「ガタガタ」と音が聞こえてきたら、緊急事態です。

  • ファン・減速機のベアリング摩耗:
    • 最も多い原因です。放置すると軸が固着(ロック)し、モーター焼損に至ります。
  • ファンブレードの破損・アンバランス:
    • ファンに異物が当たったり、腐食で欠けたりすると、回転バランスが崩れて激しい振動が発生します。これを放置すると、最悪の場合、ケーシングごと破壊する大事故になります。

③ 水漏れ・飛散

  • 下部水槽(水盤)の腐食:
    • 鋼板製タワーの場合、経年劣化で水槽に穴が空くことがあります。FRP製でも、継ぎ目のパッキン劣化で漏れることがあります。
  • キャリーオーバー(水の飛散):
    • エリミネーター(飛散防止板)の劣化により、ファンが水を吸い上げて外部に撒き散らしている状態です。周囲の設備を錆びさせるだけでなく、レジオネラ菌を含んだ水を飛散させるリスクがあります。

2. 故障の元凶は「水質管理」にあり

修理現場に行くと、トラブルの根本原因の8割は**「水質管理の不備」**に行き着きます。

クーリングタワーは、水を蒸発させた気化熱で温度を下げます。つまり、水だけが蒸発し、水中のミネラル分(カルシウムなど)はどんどん濃縮されていきます。これを放置するとどうなるか。

  • スケール障害: 石のように硬いスケールが熱交換器や配管に付着し、冷却効率を劇的に低下させます。
  • スライム(藻)障害: 日光と適度な温度は、藻やバクテリアの温床です。これが泥状になって配管を閉塞させます。
  • 腐食障害: 濃縮された水は腐食性が高まり、金属部分を錆びさせます。

「修理」で部品を交換しても、この「水質管理(ブローダウンや薬剤投入)」を見直さない限り、数年で同じトラブルが再発します。これは断言できます。

3. 「修理」か「更新」か? 施工管理30年の判断基準

クーリングタワーの法定耐用年数は15年ですが、メンテナンス次第で20年以上使うこともあれば、10年でボロボロになることもあります。 現場で「直すべきか、買い替えるべきか」と相談された時、私は以下の基準を提示しています。

判断基準①:設置年数とケーシングの状態

  • 〜15年:修理推奨
    • モーター、ファン、充填材などの部品交換で延命可能です。
  • 15年〜20年:要検討
    • 特に鋼板製タワーの場合、本体の鉄骨やケーシングの腐食具合を見ます。サビて穴が空きそうな状態なら、更新の方が安全です。FRP製ならまだ使える場合が多いです。
  • 20年以上:更新推奨
    • 修理部品の供給が終わっている可能性があります。また、最新機種は省エネ性能が高く、騒音も小さくなっているため、メリットが大きいです。

判断基準②:充填材(フィラー)の交換費用

充填材がスケールで完全に閉塞してしまった場合、全交換が必要です。この費用はかなり高額になります。 「充填材交換費用 + その他補修費」が、新品価格の60%を超える場合は、思い切って新品にした方が、将来的なメンテナンスコストを含めると安上がりになるケースが多いです。

判断基準③:設置環境の変化

「昔は周りに何もなかったが、今は隣に住宅ができた」という場合。 古いタワーは音がうるさく、近隣トラブルの原因になります。「低騒音型」への更新を検討すべき強力な理由になります。

4. 現場でできる寿命を延ばすメンテナンス

プロに修理を依頼する前に、あるいは修理した後に、現場で日頃からできることがあります。

毎月のストレーナ清掃

下部水槽にあるストレーナ(金網)を掃除してください。ここが詰まるとポンプに空気が入り(キャビテーション)、ポンプ故障の原因になります。

ブローダウン(水の入れ替え)の管理

「もったいないから」と給水を絞っていませんか? 濃縮を防ぐためには、ある程度の排水(ブロー)と新規給水が必要です。導電率計で管理するのがベストですが、手動バルブを少し開けて、常に新しい水を入れるだけでも寿命は変わります。

レジオネラ属菌の検査(年1回以上)

これは機械の寿命ではなく、人の命に関わる問題です。クーリングタワーはレジオネラ菌の温床になりやすく、飛散した菌を吸い込むと重篤な肺炎を引き起こします。定期的な清掃と殺菌剤の投入、そして水質検査は、施設管理者の法的・道義的義務です。

まとめ:クーリングタワーは工場の「汗をかく機能」

人間も汗をかけなくなると熱中症で倒れてしまいます。工場にとっての汗をかく機能、それがクーリングタワーです。

  • 「冷えが悪い」は充填材と水流のチェック。
  • 「異音」はベアリングかファンの異常。即対応が必要。
  • 「15年」が更新検討の節目。
  • 水質管理こそが、最強の予防保全。

屋上の片隅で唸りを上げているその機械が、工場の利益を支えています。もし、「もう何年も中を見ていない」「スケールで真っ白になっている」という状態なら、本格的な夏が来る前に、専門業者による点検と清掃(薬品洗浄)を依頼してください。